PHP×携帯サイト デベロッパーズバイブル を日頃からお世話になっている、memokami の荒木さんよりご献本いただきました。荒木さん、ありがとうございました。
さて、タイトルにも書きましたが、この本、ケータイサイト開発に関わる方なら PHPer でなくともオススメです。実装例やサンプルライブラリこそ PHP で紹介してあるものの、各種環境構築やサーバ設定などの主題から外れる内容は極力省かれており、全体的な解説の重心は「ケータイサイトを作る際に知っておきたいこと、考えておきたいこと」におかれています(と僕は思います)。ですので、「知っておきたいこと、考えておきたいこと」を読み解いていくことで、他言語での開発をおこなう場合でも、とても参考になる一冊だと思います。
もうちょっと細かく書くと、僕がこの本をオススメする理由は、大きく次の 3 点が挙げられます。
- 3キャリア対応サイトを作るために、3箇所(以上)に分散している一次情報をチェックし、比較活用できる形にする必要がある => その手間をショートカットできる
- キャリア仕様からは必ずしもうかがい知れない、「やってみなければ分からない」ポイントが押さえてある
- これらの情報が、実際のサイト開発の流れに載せて、順序立てて解説してある
1 点めは、ケータイサイト開発を始めて、すぐに遭遇する「メンドクサイポイント」です。たとえば「位置情報を使ったサイトを作るぞ」という状況になったとき、各キャリア仕様を当たることになりますが、「つくろうiモードコンテンツ」やら「EZ Factory」やら「SoftBank Mobile Creation」やらを巡回して、必要そうな資料(PDF)をピックアップしてくることになるわけです。当然、3 社とも資料の様式/解説手順は異なりますし、必ずしも一つの資料じゃ見えきれないキャリア特有の前提知識があったり、初めて見る標準仕様っぽい名前やら用語が出てきたりと、これらの情報を整理解釈するフェーズがどうしても必要です。これらの情報が「一次情報はどこにあって」「最低限見ておくところがこれで、3 キャリアではこうなってて」「実装するならこうだ」というのが一通り書いてある、というのは、これだけで大きなショートカットになります。
2 点めですが、たとえば、次のような情報で「何だこりゃ、どういうことよ」「うわ、ケータイサイト、メンドクさそう(でもやることになっちまった)」って方は、きっとこの本を読んでおくと、少なからず救われるのではないかと思います。
- SoftBank モトローラ機種は、User-Agent の表示フォーマットが異なる
- au は Win かそうでないかで利用可能絵文字数を見分けると良い
- SoftBank 絵文字の扱いは 3GC 機種とそうでない機種で微妙に違う
- au デコレーションメールの MIME フォーマットは他キャリアのフォーマットと異なる
- SoftBank の旧機種では端末シリアル番号が取得できない
- au だけは HTTP リクエスト拡張ヘッダで、位置情報対応有無を確認できる
こんなふうに、まさしく「ハマった人しか知らない」「やったことがある人でないとわからない」ポイントが目白押しです。とくに絵文字の扱いに関する説明の丁寧さには特筆すべきものがあります。3 キャリアサイトでの絵文字対応は鬼門ですが、ここまで絵文字についてページを割いて丁寧に説明している本を、僕は見たことが無いです。
余談ですが、僕は最近↑のデコレーションメール周りでいろいろハマってました(諸事情あり、ここで紹介できてなくて申し訳ないです)。ここも、しっかり解説してくれてるのが、ちょっと悔しかったりする。
最後の 3 点めは 2 点めとも共通してくるのですが、
ケータイサイトの開発では、「技術的に難易度が高い」というのとは異なるトリッキーなハマりどころが多く、何も知らずに足を突っ込んでしまうと、「オイオイ、こんなのでアリなのかよ」「この○○××め〜!(○○にはお好みの文句、××にはお好きなキャリア名もしくは機種メーカをどうぞ)」という実装 TIPS と、特異な( bad というには抵抗があるので)ノウハウの嵐に遭遇します。ケータイサイト開発を安易に考えていた結果、落とし穴にハマりまくって、見積りが大きくブレたという痛い経験は無いでしょうか。僕はあります。泣きました。
現実的には、最近は、これらのハマりポイントも Web 検索で解決できるようになってきました。けれど、この本は単にハマりポイントと対処療法を散乱させた、Web で検索できるネタの寄せ集めではありません。これらを、実際のサイト開発の流れに載せて、順序立てて解説してくれているという構成もオススメポイントのひとつです。こういう構成にしてくれているおかげで、これからケータイサイト開発に取り組む方がハマる前に、何を見ておくべきかを、あらかじめ知ることができると思います。
というわけで、携帯サイトの開発にかかわっている僕も、多くを勉強させていただきました。ケータイに関する開発にこだわって携わってこられ、自身でのケータイサービスも運用されている荒木さんならではの、エネルギーを感じる一冊です。これからケータイサイト始める方にも、すでに幾つか経験されてる方にもオススメです。
最後に、
荒木さんが巻末に書かれている通り、ケータイ技術は日進月歩、異常に速いスピードで進化していますから、確かにこの本の内容も、すぐに古くなって行ってしまうかもしれません。が、今までのスピードに比べれば、端末の買い替えサイクルも長くなってきたし、「普通のケータイサイト」を作る上でのポイントはちょうど成熟してきた頃なんじゃないかな、とも思います。
今後は iPhone やら android やらの話題がモリモリ世に出て行きそうですが、それらの開発 TIPS が一般的に必要とされるのは、もうちょっと先になりそうですよね。まだまだケータイサイトはいっぱい生まれてきてますし、ケータイサイト開発解説本としては、とても良いタイミングで発売されたのではないでしょうか。
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